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第六話 道を失う

心が晴れると、自然と顔もほころぶ。

ほんで、自然と溢れる笑顔ってのは不思議な力を持っていて、素敵な出会いを造り出す。

神様と出会ってから、素敵な出会いに恵まれ始めた。

ある時は、一家50人くらいで暮らす、明るくて元気を貰えるお家に招待され、

また時には、家の中にバカでかい寺を持つ大豪邸でくつろがせてもらえたり、

自分の家じゃないのに、持ち主に確認もとらず、勝手に宿泊許可をくれるおっちゃんと出会ったり。笑

多分心ってのはダイレクトに顔に現れるんやろう。

僕の旅はフィーバーしていた。

戸惑いながら始めたラクダ旅。

てんやわんやもがきながら、少しずつ要領を得始めた。

村を駆け抜けるラクダ旅のコツみたいなものを得始めていた。

『これは行けるかもしれんぞ。』

そう思い始めていた、思い始めていたんだ、あの時は。










のどかな村々。

砂漠でないといえど、細くこじんまりと続く道。

大きな車なんて通らないし、

コツを掴み始めた僕は、

自分に浸り、大好きな唄

『カントリーロード』

を大熱唱しながら、優雅に悠々と歩いていた。








『あの、次の村へはどの道を通ればいいでしょう。』


以前書いたが、僕は出発前に教わった、通過する村々の名前を尋ねながら進んでいる。




これだ。



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ここには14の村が記されており、ようやく8つ目の村までたどり着いた。

1つの村と村の距離はおおよそ20キロ。

そのため、村と村とはさほど遠くなく、1日2日かけて、村と村を繋いでいた。







8つ目の村まで着き、いつものように村人に尋ねる。


『9つ目の村、ラムデオラまで行きたいんやけど。』


すると村人は微かに笑いを含んで、こっちやと指を指す。

なんかおかしい、なんで笑ったんや。


『どうした、なんで笑うんや?』


おっちゃんはニタニタしながら、驚くべきことをいい始めた。



















































『やってさ、ラムデオラまでは200kmあるぜ。』











































え?

にひゃっきろ?























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インド人もびっくり。

嫌な予感がする。


いやいや、おっちゃん、ラムデオラやって、次の村、次の村。


『ラムデオラやろ?200kmで間違いない。』


う、うそや。

誰に尋ねても答えは変わらない。








詳細はこうだ。





全行程600km。

その間に通る村々を、バランスよく並べてもらった。

はずやった。

いや、そう勝手に思い込んでいた。

が、しかし。












実際はこんな感じ。



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おっちゃんは、覚えている村を並べただけ。

という感じ。







うそーん!









てことはだ。

ここから次の村までの道のり200kmの情報は皆無。

なんだか嫌な予感がする。









しばらく歩く。

すると、驚きの光景が目の前に現れる。








『あ。』













































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目の前に広がるのは、ばかでかいトラックターが、あり得ないスピードで爆走する、だだっ広い道。

そう、インド共和国政府が手塩にかけた、国道に出てしまったのだ。

それもそのはず。

今までは次の村まで程近く、細かい情報が手に入った。

がしかし、200km先となると、現地人は自然と一番大きな通りを薦めてくることとなる。

僕は小さな村を繋ぐ道を行きたい、と尋ねたいところだが、

『水、食べ物、金』

くらいしか話せないヒンディー語で、こんな細かい情報を得るのは不可能だった。






別に国道でいいやないか、そう思う人もいるかもしれない。

しかし、これには大きな問題がある。

まず、道。

これまでの道は舗装されていない、砂や土からなる道。

車にとっては走りにくい道だろうが、僕の移動手段はラクダちゃんだ。

砂や土からなる柔らかい道。

これが、バチバチのコンクリートからなるガチガチの道に変わる。

当然、金太郎の膝には大きな負担となる。

さらに、鳥のさえずりが聴こえるような、のどかな田舎道だったものが、

大型ダンプカーが我先にと爆走を続けるレースサーキットに変わる。

その横をよちよちと時速5km弱で進む。

当然大事故の可能性が格段と増す。

加えて、公の道をラクダと共に歩くこととなる。

当然、警察や管理人等の目にふれるだろう。

ラクダに乗った外国人は、不審者以外の何者でもない。

何らかの面倒な事に巻き込まれるかもしれない。







それでも、どうあがいても新たな情報は手に入らなかった。








行くしかない。










一難去ってまた一難。

せっかく馴れ始めた、村旅に別れを告げ、

広大に広がる、国道を歩いていく旅が始まる。

明らかに変わった道に、金太郎も戸惑っていた。

















出発前: http://masahirourabayashi.hatenablog.com/entry/2017/01/03/111033

第一話: http://masahirourabayashi.hatenablog.com/entry/2017/01/26/183646

第二話:http://masahirourabayashi.hatenablog.com/entry/2017/01/27/173210

第三話: http://masahirourabayashi.hatenablog.com/entry/2017/01/28/164651

第四話: http://masahirourabayashi.hatenablog.com/entry/2017/01/29/171841

第五話:http://masahirourabayashi.hatenablog.com/entry/2017/01/30/222231