思いがけず来た勝負のとき
カザフスタンに入国した。
いやー、寒くなってきたなー、野宿できるかなーとか思いながら入国した。
が...
おーまいごっと。
おーまいごっと。
おいおい、いくら寒い言うても、いきなり変わりすぎやろ!?
野宿なんていっとる場合やない!!
今まで味わったことのないレベルの寒さ。
これが、カザフスタンさんですか、
なめてました、すいません。
ってことで、命の危険を感じるレベルの寒さなので、急いで宿を探し回った。
しかし...
『ぎゅるぎゅるぎゅる~...』
ま、まずい、
俺のウィークポイントである、腹の弱さがここにきて寒さにやられ始めた。
急いでトイレを探さなければ...
30分くらい探し回っただろうか。
天使のマーク発見!!!!!
誰でもこんな経験をしたことがあるだろう。
そしてこの天使マークを見て俺は天に召されるように、入場ゲートをくぐった。
並みいるカザフスタン人を押し退け、ようやく便器まで辿り着いた。
『勝った...』
人生であとどれくらい、こんな安堵感に包まれることがあるだろうか。
まるでお母さんの腕に包まれているようだ。
んなことを言っている場合じゃない。
便器に腰を下ろすまで安心はできない。
よし、いくぞっ!!
ようやく便器エリアに辿り着いた。
ふぇ!?
お分かり頂けるだろうか。
あるはずのものがない。
『またまた~、カザフスタンさん、ちゃん大きいのする場所に案内してちょーだいよ~』
と心の中でつぶやき、辺りを見渡した。
な、ない!!!!!
あるはずのものが、ない!!
いや、絶対になくてはならないものが!!!
う、嘘だろ。
こんなモロだしで用を足せというのか。
何かの間違いだ。
野に放つときだって、人は何かしらの陰に隠れて用を足すだろう。
人間の正常な精神で、こんな用の足し方が許されるわけがない...
恐る恐る、視線を横にずらす。
すると...
いるではないか、便器にまたがり、こちらを向いて、にんまりとした表情で、至福の時を過ごすお爺ちゃんが!
なんだ、この並外れた精神力は。
この世で唯一といってもいい、自分だけの空間のはずが。
お父さんも、お母さんも、先生も、こんな状況をどう切り抜ければいいか教えてくれなかったぞ!!!
そうこうしているうちに、俺のお腹のリミットは、限界に達する。
もう、どうにでもなれっ!!!
一心不乱に便器にしがみつき...
ー以下省略ー
数分後、僕は少しのはにかみと、戦を切り抜けた勇敢な侍のような表情で、周りカザフスタン人を見つめついた。
また、少し僕は成長した。
もっといける、まだまだ攻めれる。
そんな確かな手応えと共にトイレを後にするのであった。
最後に、すいませんでした。